石川淳という作家を考えようとすると、私はとたんに戸惑ってしまう。いったい彼の何を論じればいいというのか。その困難さの一つには作家の明晰さがある。たとえば、評論『森鴎外』は一見した所、江戸っ子の歯切れの良さで、ほとんど独断的に、そして破れか…
誰かが「精神」ということばはespritの適切な訳語ではない(というか、適切な訳語なんてないのでしょうけど)と仰って、どう訳すのがより心地よいか、と問うていた。精神には神がいる。神という字は、しめすへんと、申=カミナリの合成。しかし精という字も…
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