2014-01-01から1年間の記事一覧

ヴァッティモ『透明なる社会』 違和感の美学

『透明なる社会』を読む。透明なる社会 (イタリア現代思想)posted with amazlet at 14.02.17ジャンニ・ヴァッティモ 平凡社 売り上げランキング: 526,867Amazon.co.jpで詳細を見る本書の中心はメディア論、コミュニケーション論、芸術論である。ヴァッティモ…

「我々は後ずさりしながら未来に入っていくのです……」ヴァレリー『精神の危機』など。

課題、ポール・ヴァレリーの『精神の危機 他十五篇』を読み、感想を書くこと。精神の危機 他15篇 (岩波文庫)posted with amazlet at 14.02.15ポール・ヴァレリー 岩波書店 売り上げランキング: 221,589Amazon.co.jpで詳細を見る 危機の時代 危機というのは近…

知られざる石川淳──渡辺喜一郎『石川淳傳説』を読んで

石川淳という作家を考えようとすると、私はとたんに戸惑ってしまう。いったい彼の何を論じればいいというのか。その困難さの一つには作家の明晰さがある。たとえば、評論『森鴎外』は一見した所、江戸っ子の歯切れの良さで、ほとんど独断的に、そして破れか…

デリダの『精神について』ちょこっと。

誰かが「精神」ということばはespritの適切な訳語ではない(というか、適切な訳語なんてないのでしょうけど)と仰って、どう訳すのがより心地よいか、と問うていた。精神には神がいる。神という字は、しめすへんと、申=カミナリの合成。しかし精という字も…